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ヒトトヒトサラ

あの店のヒトサラ。
ヒトサラをつくったヒト。
ヒトを支えるヒトビト。
食にまつわるドラマを伝える、味の楽園探訪紀。

ヒトトヒトサラ41 / TEXT+PHOTO:嗜好品LAB ILLUST:山口洋佑 2016.11.02 八王子市館町「Caf TOUMAI」白川由紀さん・武内和貴さんの「チキンレッグのレモンシチュー」

美しき山並みを望む高尾駅の住宅地に、突如「Café TOUMAI(トゥーマイ)」は現れる。ここは現代リノベーションのお手本としても訪れたい「クラフト・リゾート」の先駆けであり、さまざまな個性と興味を受け入れる「コミュニティー・カフェ」としても知られる別天地。
 オーナーの白川由紀さんは、これまで海外100ヶ国もの文化や習慣を吸い込み、そこでの知識やエッセンスをこの場に束ねる行動派。そしてシェフの武内和貴さんの手による無国籍料理の数々は、我々の舌に旅をさせる。
 小旅行の休憩所というよりは、この空間こそが小旅行。ランチタイムを終え休憩中のおふたりに、TOUMAIがTOUMAIであり続ける理由、そして少々破天荒な人生哲学をお訊きしました(夢見心地のホロ酔いで!)。

「TOUMAI」とはチャドの民族語で「生命の希望」を意味。ホワイト・ロッジの石階段を下れば、まさにそこには……

めざしたのは、帰国のない旅行。「まずは仕事場の壁を塗るところから始めました」

 わたしは旅行がとにかく大好きで、18歳ぐらいの頃から海外に出て、もうかれこれ100ヶ国ぐらいは旅しているのかな。そうこうしているうちに、やっぱり旅行関係の印刷物をつくる仕事に就くことになって、海外のガイドブックの取材をしたり、旅行エッセイを書いたりするようになったんです。もともとの仕事はライターなんですけど、だんだんと文字以外のメディアでも旅の表現をしたくなって、写真にも手を出したり。だから30歳の頃には「ひとり編集プロダクション」みたいになっていましたね(笑)。

白川由紀さん。「わたしの写真なんかが記事に出ちゃってイメージが崩れないかなぁ……お店でカッコよくやってるスタッフのみんなに申し訳ないなぁ……」

 新しい原稿用紙を前にするとワクワクするじゃないですか。ここになにを描こうかなって。そこに写真を添えられれば、さらに世界は広がる。そのステップを自分のものにしたら、今度は紙メディアを越えた立体的な企画を組み立てたくなって、ふつうの旅行に飽きてしまった人たちとか、テレビCMのクルーの方たちを相手に、大手の旅行会社が組めないようなカスタマイズ・ツアーを請け負うようになったんですね。南米のボリビアとかアフリカのナミビアなんかは、本当に感動的なストーリーを編み込んだ旅になるんですよ。その途上には、ひとり旅でカラシニコフを突きつけられたりのドラマもありましたけどね(笑)。

 そんな言葉の通り、白川さんの企画するツアーはライター業と地続きのものだった。プロローグがあればエピローグもあり、そこに豊富な海外体験から抽出されたエピグラフ(引用句)を散りばめた、白川さんなりの「小説」であったという。

 ただ、人っていうのは、なにごともルーティーンになったとたんに飽きがくるものですよね。わたしはそこに至る前のワクワク感が大好きなので、出国しても帰国をしない旅行、つまりは生活そのものを旅行と見立てて、毎日を旅するように暮らせたらいいなと思ったのが、このお店の始まりなんです。
 もともとこの場所はわたしの実家で、母屋には家族が4人、離れには祖父母が暮らしていたんですけど、祖父母と父母は天に召されてしまったので、少しずつでもここを改装していって、自分にとってもお客さんにとっても小旅行気分を楽しめる居心地のいい場所になれば……。そんなことを考えたのが、今から13年ぐらい前のことですね。

「いきなりデザート? クレームブリュレ?」と驚かされる先制攻撃! 日替わり前菜の「チキンレバーのブリュレ」。硬く焦がした蜜の下には鶏レバーのパテが眠り、甘みと旨み、ほのかな苦味を舌の上でゆっくりと溶かしながらいただく。レバーの臭みを取る作業には、丸1日をかけているそう。
そこに合わせるは栃木県足利市「ココ・ファーム・ワイナリー」醸造の名作「農民ロッソ」

 改装のことは軽く考えていたんですけど、実際にやろうとするとたくさんの壁が待っていましたね。ここは190坪もあるし、斜めの土地に建っている。業者さんに頼んで建て替えるにはお金がなさすぎるし、そもそもこれまでライター業で身体を使ってこなかった自分に飲食業ができるのかも怪しかった。だから、まずは当時の自分の仕事場だった部屋の壁を塗るところから始めてみたんです。お店にできたらという願望はやんわりとありましたけれど、その夢はあまりにも遠すぎて有言不実行になるのも恥ずかしい。だから友だちには「最近ちょっとしたDIYを始めたんだよね」なんて言いながら、今日はここの壁、明日はあそこの壁って。

Café TOUMAIのテラス席~庭の様子。ところどころに民家の佇まいを残し、木々の隙間には隣家やバス通りが覗く。この絶妙なユルさが地域に根ざした「クラフト・リゾート」と呼ばれる所以である。
夏の日にはビニール・プールが出され、子どもたちの嬌声を集める。

 ここをつくるにあたっては、ひとりのアーティストとの強烈な出逢いがありました。彼はわたしが「アフリカ縦断バス」という企画をやったときのお客さんで、「リノベーション」なんて言葉が世の中に出てくる以前から空き家や廃屋に魔法をかけて、とんでもない芸術空間に生まれ変わらせることをやってきた人なんですね。四国の香川なんかでも、いくつもの廃屋に命を吹き込んでいた天才でした。彼は浄化槽の設置なんかもひとりでやっちゃうぐらいのエキスパートだったので、うちなんか朝飯前のことだったんでしょうね。見るなり「いい風の吹き抜けるカフェになるよ。オレでもできるんだから大丈夫。今はホームセンターがあるから、個人でも心配なし」と勇気づけてくれました。その彼に少しずつ教えを受けていたら、確かにきのうまでスズメの巣ができていた空き家に、ほんの少しずつお店の顔が見えてきたんです。

冬場は暖炉料理(要予約)も楽しめる店内。「内装を手伝ってくれた建築アーティストの青木学さんは、マイナスのものをプラスにもっていく天性の芸術家。いっぽうの自分はペンキ缶の開け方すらわからなかったんです(笑)」
白川さんが海外取材の合間に収集してきたというオブジェ。「アフリカの原住民の人が使っていた民具をそのまま譲ってもらったこともありましたね」

オバケよりも現実のほうが苦手。空間芸術としてのリゾートを育む「生涯妄想人」

 安住よりも冒険を好み、思い立ったらすぐ実行。「これまでの海外で絵本の世界が現実になったような風景や、庭にキリンが歩くホテルなんかをたくさん見てきたせいか、平坦な日常や現実を越えたところにある世界に、強烈な憧れがあるんです!」と語る白川さん。しかしそんな空想や妄想がすぐに利益に結びつくほど、日本の飲食業会は甘くなかった。

 そうなんですよね~(笑)。最初の半年間はほとんど誰もこなくて、「カフェみたいな家でただ番をしている人」になってました(笑)。コーヒー豆すらどこから仕入れていいのかわからないところから始まっているので、当初のメニューというのも、コーヒー、紅茶、炭酸水、以上(笑)。旅の仕事も並行してやっていたので、ブータンのおばあちゃんから譲ってもらったドブロクを置いてみたり、ジンバブエでこっそり頂いてきた象の干し肉──増えすぎてしまったものを生態系の調整のために食肉にするみたいで、噛んでも噛んでも口に残るガムみたいなものなんですけど、味は悪くないですよ──を試食してみたり、とてもじゃないけどお店とはいえないキテレツさでした(笑)。

厨房では「季節野菜のスープ(この日はカボチャ)」の仕上げが。

 でも、そもそもここは「なるようになる」でスタートした空間ですし、そんな気持ちでのんびりと構えていたら、だんだんと個性的なスタッフやお客さんが増えていったんです。今では高級車でやってくるセレブっぽい人もいれば、「毎月8万円の稼ぎで楽しく暮らしてます!」という若い才能もやってくる。はたまた「ここでマグロの解体ショーをやりたい」という漁師さんがきてくれることもあって(笑)。

 こうして白川さんの育った実家は、「Café TOUMAI」として育てられることとなった。

 はい、うちはお店といっても、いい意味でカタチが定まっていないので、どの方向にも育っていける可能性があると思っています。ゴールや正解がないままライヴをやり続けている感じ。たぶんお店は未来永劫、ずっと成長の途中なのかも(笑)。でも、だからこそここにはワクワクがあるんです。毎日のように楽しいトラブルがある。お店っていうのは、空間デザイン、そこに集う人、皿の上、グラスの中、チラシのグラフィック・センス、オブジェの美しさなど、すべての要素が噛み合わさった総合芸術とも言えると思います。これって本当にやり甲斐、つくり甲斐があります。そう簡単には完成させてくれませんから。

隣接する雑貨店「Shop Amahina」では海外から仕入れた衣料雑貨やハンドメイドの1点ものなどを扱う。ここだけのギフトセットなども充実。

 カフェの2階にあるヴィラ(Villa TAKAOSAN)は3年前につくったんですけど、当時はまだ民泊についての話はほとんど出ていませんでした。だからわたしたちも半ば冒険のようなカタチで取り組んだわけですが、それから間もなく「暮らすように旅しよう」でお馴染みのAirbnbが登場。その流れとともにさまざまな国のお客さまにおいで頂けるようになりました。あの頃から考えれば「紅葉にオススメの宿」としてご紹介頂けているのは大飛躍! でも、どこかにその予兆を感じていたからこそ始められたわけで、時代の変化や、そこにアンテナを張り続けることって、本当に面白いことだと思います。波乗りサーフィンみたいな(笑)。

12畳のベッドルームと8畳の和室、ダイニングとテラスからなる「villa TAKAOSAN」
1泊12000円で高尾山と相模湖を望む非日常が楽しめる。2名以降は1名につき3000円を加算……ということは最大6名のワリカンで1泊5000円。安い!

 ここ(TOUMAI)の料理人にしても、正式な募集をかけてきてもらったスタッフではないんです。初代から3代目のシェフは全員が飲食未経験。でもだいたい3年で仕事人としての頭角を現して、ふたりは正式にお店を持って独立しました。今のシェフも未経験でしたけど、もともとセンスがあったので、すごい勢いで成長中です(笑)。

 と、紹介していただいたのが、武内和貴さん。白川さんが「料理はすべてお任せしています!」と全幅の信頼を寄せるシェフであり、その手には「季節野菜のスープ」と「本日のデリ3種盛り」が。さきほどの「チキンレバー〜」の余韻も引ききらぬうち口に運べば、素材の特性を活かしきったドッシリとした味わい、乳感とスパイスが織りなす香りにうっとり。なにより目にも美しい。
 う~ん、武内さん、これで「飲食未経験」というのは、さすがになにか訳アリでしょう? どこかの名店でとんでもないトラブルを起こして逃亡中とか──

 そんなわけないじゃないですか!(笑)。むしろ僕は白川さんのおっしゃる「人間は未経験でも3年で育つんです」の典型だと思いますね。もともと僕はこの店のお客、自分の結婚式をここで挙げているぐらいのファンだったんですよ。だからここでの僕の呼び名は「新郎さん」なんです(笑)。

「新郎さん」こと武内和貴さん
ハウス・ディナーのアペタイザーとしても定番の「本日のデリ3種盛り」。手前は蜂蜜のソースがかけられたクリームチーズ・テリーヌ。ドライフルーツとナッツがクニュクニュゴロゴロと転がる。
秋野菜のケークサレ(写真左)。さつまいも、カボチャ、栗の甘みとベーコンの塩気にバルサミコ・ソースを絡めながら。ブルスケッタは2種(写真右)。しっとりとしたムースにはプロシュート(生ハム)をふんだんに使用。ハニーナッツといちじくの下にはブルーチーズが塗られ、味も香りもめまぐるしい!

 このお店の結婚式というのは200%のフル・カスタマイズで、僕らの希望はすべて訊いてもらえましたし、「仕組み化されていない、手づくり感の贅沢」を堪能できるパーティーなんですね。僕の地元は高知なので、わら焼きにしたカツオで「ケーキ入刀」ならぬ「カツオ入刀」をやらせてもらったりもしました(笑)。
 僕はそのパーティで当時のシェフが独立されるという話を伺って、思い切って「3年間だけ僕にやらせてもらえませんか?」と飛び込んでみたんです。ここでの経験を糧に、ゆくゆくは山口県の俵山温泉のあたりでお店を出したいと思っていますね。

「そうなんですよー! 〈新郎さん〉にはおっきな夢があるんだよね!」と白川さん。自由すぎる結婚式や型にハマらないイベントの数々はいつしか高尾の名物となり、2015年にはあのグラミー受賞アーティスト、ジェシー・ハリスまでもがライヴを敢行!

 僕は祖母の煮物やひじきで育ったので、洋食を食べたかったら自分でやるしかなかったというのもあって、小学校2~3年ぐらいから台所に立っていましたね。最初の料理ですか? お恥ずかしい話ですが、正直に言うとインストタント麺です(笑)。つくり方もよくわからずに麺とスープを別々の鍋でやっていて、ドロドロにふやけたものになってしまった。でもそれを「美味しいよ」と喜んでくれた祖母の顔がうれしくて、そこから料理が大好きになったんです。社会人になっても趣味は食べ歩きです。気に入ったお店には入り浸って、なんとかレシピを教えて頂いたり、人生相談をさせて頂いたり……あ、そろそろ次の料理をお持ちしますね。

毎日頭がフル回転。効率度外視で、食の研究ばかりしています

 Café TOUMAIの料理はアペタイザーやメインを合わせても10~12種と決して多くはないが、そのどれにも季節ごとのフレッシュな新味、多国籍感覚が感じられ、ワールド・ミュージックのイベントでは、その日の音楽に合わせ、ブラジルやアイルランドの郷土料理までもがメニューに並ぶという。
 今回はグランド・メニューから南インドのベンガル・カレーをモチーフに煮込まれた「チキンカレー」、そして今回のヒトサラであり、コートジボワールの「プーレヤッサ」をTOUMAI流にアレンジしたという「チキンレッグのレモンシチュー」をお願いした。

 カレーはスパイスを調合するところから始めています。ベンガル・カレーはたっぷりのトマトが入るのが特徴なんですけど、本場の味をそのまま出してしまうと(日本人には)コクが足りないと思うので、炒め玉葱を加えています。うちは家族連れのお客さまも多いので、塩や唐辛子の直線的な辛味というよりは、スパイスの香りで召し上がって頂くことを意識していますね。

スパイシーな鶏ももグリル、ライスやサラダもたっぷりと盛られた「チキンカレー」。メニュー名に凝ることをしないのも、味への自信の現れと見た。

「チキンレッグのレモンシチュー」は、骨ごと煮込んだ鶏のスープに、玉葱の甘味、ニンニクの香り、レモンの酸味を加えたものです。添加物はいっさい使わずに、素材の旨みだけでやってます。……今の時代って、わかりやすい味ばかりが流行っていて、「苦い」や「酸っぱい」という味覚の奥にある「旨み」に気づかない人があまりにも増えてきていると思んですね。だからこそ、こういったカジュアルな料理ほど、素材由来の「本物の味」を出していきたいと思っています。

「チキンレッグのレモンシチュー」
ライスを浸して食べれば「西アフリカ版の参鶏湯(サンゲタン)」のようでもある。とにかく複雑! とにかく美味!

 この料理は僕がこの店を好きになったきっかけでもあるんです。初めて食べたときは「こんな味があるのか!」と感動しましたね。だから、以前のシェフの味をそのまま引き継げるのかどうかはすごく不安でしたけど、料理というのはレシピ通りにつくっても絶対に同じ味になりませんし、そこにこそつくり手の醍醐味があると思うんです。とくにTOUMAIの場合はイベントごとの料理や常連のお客さんからのカスタマイズ・オーダーなど次から次へと新しい研究課題を与えられるので、本当に鍛えられています。こんなに頭を使いながら料理をしたことはないですし、毎日が効率度外視の残業漬けです(笑)。

「でもそれこそが、お客さんへの真摯な愛なんじゃないの?」と白川さんが話を引き継ぐ。

 武内くんの料理は最初に写真を見せてもらったときから「すでに趣味の域を越えている!」と驚いたんですけど、もともと備わったセンスの上に、自助努力が加わって磨かれていくというのが本来の技術ですよね。そこまでくれば、もう実践あるのみ。それを積み重ねるチャンスというのは、このお店には百でも千でもありますから。

 3年で独立の夢を描いている武内くんですが、本来であれば料理人の3年ってすごく短いものですよね。一般的なレストランであれば、下積みで終わっちゃう期間。ただでさえ一般的な飲食店は効率や採算が優先されていて、まず失敗というものが許されない。でもTOUMAIは違うんです。失敗を見守って、その失敗から生まれる成功を楽しみにしようよ、みんなでお店を育てていこうよ、というスタンスなんですね……や、もちろんお客さまには自信をもって「完成品」をお出ししていますし、研究発表や試食会といった中途半端なことはしませんが、そもそもマーケティングからいけば、こんな立地にお店はつくらないんです。最初から規格外なわけだから、わたしは将来独立できる才覚をもったスタッフを育てていきたいし、そのドラマを見守っていきたいと思うんです。

 白川さんの目に映るスタッフたちの懸命さは、かつての自分を見ているようでもあるという。

 思えば自分が自営業として生きていけるようになったのも、「やれます! できます! がんばります!」をモットーに、くる仕事くる仕事すべてを受けてきたからなんですよ。つまりは難しい仕事や新しい環境に直面したときも、あまり考えないタイプ。「やってるうちにできた」の連続でここまできちゃったんですね。でも、人によっては最初から苦労やリスクばかりを計算してしまったり、下調べをしすぎることで、最初の1歩すら踏み出せなかったりすること、ありますよね。もしかしたらそれは、人生を左右する最初の1歩なのかもしれないのに、それはあまりにももったいない。だからせめてTOUMAIは勇気をもって、そんな人の背中を押せるような場でありたいと。

猫(に)まっしぐら派にはメロンくんとポンカンちゃんがお見送り。「ゴロニャー!(←またのお越しを)」

 このご時世、「新しい仕事をください!」と頭を下げても叶わないことがほとんどだが、機会を逃すことなく荒波にダイブし、精一杯に努力したのち「力不足でした!」と頭を下げることは、確実にできる。どうせ同じ前傾姿勢になるのであれば、後者のほうがずっと清々しいのではないか、という考え方である。

(爆笑)そうそうそうそう! そんなのどこでも通用するわけじゃないけれど、考え方としてはバッチリ。そういう想いがTOUMAIの背骨になっているんです。
 やっぱり「つまる人生」を送ろうと思ったら、考えていちゃ駄目なんです。実はわたしだってまだまだやりたいことだらけ(笑)。アフリカの本はあと1冊書きたいし、外国人目線を意識したネオジャパニズムの宿もやってみたい。なにより自分が既存の老人ホームに入りたくないので、いつかそういう施設もやってみたいなぁ。どれも荒業ですし、山道は険しいけれど、ある程度のところまで登ってしまえば、背中の景色を振り返って、「きれいだなぁ」と思えるはずなんです。その瞬間に、途中の苦しさなんかはすべて忘れてしまって、また次の山をめざす。そんな人生を送っていたいなと思いますね。

Café TOUMAI(トゥーマイ) 東京都八王子市館町657
042-667-1424
営業時間:11:30~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日:月曜日

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