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メンターについてゆく

カレーにラーメン、蕎麦やスウィーツ
それぞれのメンター(師匠)たち。
その深い愛情と探究心ゆえ、あらゆる名店を
食べ歩き、ついには偏愛の書までを上梓する
彼らの「もっとも熱いヒトサラ」とは?
頭もお腹も満たされる、いいとこどりの贅沢時間です。

メンターについてゆく07 / TEXT:田尻彩子 PHOTO:嗜好品LAB ILLUST:藤田めぐみ / 2015.07.29 島田真人さんと八千代市勝田台「南インド料理 葉菜」の「ベジタリアンプレート」

老若男女に好かれる敷居の低さ。しかし極めようとすればするほどその道は険しく、長い。そんな「カレー」のメンターとして登場してくださったのは、控えめで謙虚な人柄ながら、カレーへの静かな狂気を感じさせ、その界隈では「カレーの島田さん」として親しまれている、島田真人さん。氏の本業はべつにあるのだが、「好きなものをとことん好きなように」という意思のもと、個人出版社「阿佐ヶ谷書院」を立ち上げ、『南インドカルチャー見聞録』を編集/発行。阿佐ヶ谷ロフトAで開催されているイベント「印度百景」のプロデューサーも務めるなど、カレーとインドのテキストにまみれた日常を送っている。
待ち合わせは千葉県・勝田台。住宅街にひっそりと佇む南インド料理店、「葉菜」までご案内いただいた。

島田真人さん。「僕は本当にただのカレー好きなので、なんだか恐縮です。僕の顔なんて撮らなくてもいいですよ!」と照れながらも、インドとカレーにまつわる話は止まらない。それが「カレーの島田さん」と呼ばれる所以である。

カレーに貴賤なし。居酒屋や学食、サービスエリア、そこがどんな場所でも、カレーがあればまずは頼んでみるんです

島田さん制作のミニコミ『カレーマシンガン』(ベンチプレス刊)

 僕なんかがこのコーナーに登場しちゃって本当に大丈夫なんでしょうか? カレーについてはいろいろ語れる権威の方々もいますし、カレーに関するミニコミ『カレーキャラバン』や『カレーマシンガン』も出してはいますけど、それもそんなに立派なものじゃないですしね。ただ、カレーに対する愛情であったり敬意に関しては、僕なりの自信やルールがあります。カレーについて話したり書いたりするときは、悪口は言わないようにしているんです。これだけは強く決めているんです。まぁ、お店が臨時休業だったり目当ての食べ物がなかったりでグチったりすることはあるんですけど……。
 カレーってすごく「語りたくさせる」食べ物ですよね。欧風もあれば、インドやタイ、中華風も日本風もあるという種類の豊富さ、来歴の奥深さもあって、マニアックになろうと思えばどこまででも深く堀っていける。だからこそ、ついつい批評めいてしまう人もいると思うんです。でも、ひと皿のカレーに透けて見える背景や、つくった人の想いを考えると、僕は絶対に批判はしたくないし、できないです。どんなカレー屋さんにもきっとそこにしかないよさがあると思っていますから。カレー屋じゃない場所、たとえばそこが居酒屋や中華、学食やサービスエリアだったりしても、カレーがあればやっぱり頼んでしまいますね。名店のカレーももちろん大好きですけど、そういうカレーにもまた、違った魅力があると思っています。

まずはインド産ビールと、フレッシュ・コリアンダーがたっぷりのオリジナル・モヒート「コリアンダー」で乾杯!

 まさに「そこに山があるから登る」とばかりにカレーに向き合う島田さん。冒頭の恐縮からも伝わる通り、島田さん自身は非常に謙虚な人柄だ。しかし毎日カレーを食べ続け、新店がオープンすれば必ず駆けつけ、その頭には東京近郊のカレーMAPが完璧に叩き込まれている (もし貴方の住んでいる町を伝えれば、すぐさまカレー店の名前を並べてくれることだろう)。ほかにも大手チェーン「C&C」の全店制覇のためにレンタカーを走らせ長野まで遠征するなど、カレー狂としての逸話は尽きることがない。その根底には、「すべてのカレーは平等に尊い」という深い愛情があるのだ。

 とはいえ、子どもの頃からすごくカレー好きだったというわけではないんです。今みたいな食べ歩きを始めるようになったキッカケにはふたつのお店があって、ひとつは吉祥寺の「まめ蔵」、もうひとつが神保町の「元祖 櫓」なんですね。「まめ蔵」は江口寿史さんが好きなお店として挙げられていたんです。僕が江口さんの大ファンという贔屓目を差し引いたとしても、初めて食べたときの感動はすごかった。めちゃめちゃ美味しくてビックリしましたね。「櫓」は仕事で神保町に行く機会が増えたことで出会いました。今はもう閉店してしまいましたが、有名なお店でしたよね。ふつうの居酒屋みたいな内装なのに、ものすごく本格的なインドカレーを出してくる、ヘンなお店で。
 そこからはもう、とにかくひたすらカレー屋に通い詰めるという生活が始まりました。そうこうするうちに「東京カリ~番長」の水野(仁輔)さんと知り合って、いっしょにイベントをやるようになって、そこからまた、カレー関係の知り合いもどんどん増えていって、ついには『南インドカルチャー見聞録』の共著者である「マサラワーラー」のふたりにも出会うことができたんです。そういう生活をグラフィック・デザイナーの永井ミキジさんや、漫画家の渋谷直角さんが面白がってくれたりもしました。……や、僕は本当に「好きなものを食べてるだけ」、ただそれだけのことなんですけどね……。

開店を待つ「葉菜」の店内。清潔だが適度な雑多さ/趣味性も残され居心地がよい。
奥の半個室にはインドの伝統楽器、シタールがディスプレイされている。

毎日カレーを食べ続ければ、いつかは南インドに辿り着く

「好きなもの」をカタチにするべく、2014年には「阿佐ヶ谷書院」という個人出版社を設立した島田さん。もちろん第1弾の書籍もカレーに無関係ではない。その名も『南インドカルチャー見聞録』。著者は写真家である井生明さんと春奈さんご夫妻、そして前述のカレー・ユニット「マサラワーラー」のおふたりだ。

「阿佐ヶ谷書院」を立ち上げたのは、僕がミニコミをつくったり、カレーのイベントに参加するうちに出会った著者のみなさんが本当に魅力的で、なんとか彼らの企画を実現させたいと思ったからです。彼らは南インドのチェンナイで出会って意気投合して、「いつか南インドの本を出そう!」と盛り上がったそうです。井生さんは南インドの音楽や芸能といった文化に対しての造詣が深くて、実際に住んでしまったほど。「マサラワーラー」の鹿島(信治)さんと武田(尋善)さんは南インドの料理にどっぷりとハマって、何度も現地を訪れていました。そんな彼らの話を訊くうちに、「これは面白いことになるぞ」と、いつのまにか僕も手伝うことになって、いちから版元を探し始めたんですけど、「南インドというテーマがわかりづらい」と言われてしまうことが多かったんですね。「単純にインドっていうくくりじゃダメなの?」とか「オールカラーじゃなくてもっと予算を切り詰めた本にできない?」みたいにも言われたり。でも、インドは日本の8倍以上の面積がある国ですから、北と南ではだいぶ文化も違います。一般的なインドのイメージというのは、やっぱりガンジス河とかタージマハルなどで知られる北のエリアが多いし、だからこそ南にこだわって出版する意味があった。そこで、著者のみなさんとは「僕が個人的に携わるならデザインや造本は希望通りにできますけど、お金はこれしか払えません」と交渉して、お互いの理想を合致させていったんです。「阿佐ヶ谷書院」のスタッフは僕だけですから、流通している量は少ないですけど、著者全員がイベントの主催者になったり参加したりすることも多いので、物販での売上を稼ぐことでなんとかやっていけてますね。僕らのやっている「印度百景」というイベントもありますし、この本が出たときはバンドのレコ発みたいに車で名古屋や大阪を廻ったりもしました。「マサラワーラー」がバンドだとしたら、僕はローディ(笑)。車に調理器具を詰め込んで。本当にツアーみたいで、あれは楽しかったですね。

美しき南インドの写真集としても楽しめる力作『南インドカルチャー見聞録』

 ご覧の通り、『南インドカルチャー見聞録』は、南インドの見どころMAPから、宗教、音楽、芸能、ファッション、そしてもちろん料理までを美麗な写真とともに紹介した、「ダクシナ・ナードゥ(←タミル語で「南の地」の意味)」を知るのに最適な1冊。確かにこのエリアの情報が得られる書籍は、現在に至っても少なく、出版の意義も大きい。しかし1冊の本を出すため個人出版社を立ち上げるというのは大変な労力があったはず。島田さん自身が発行人になろうと思ったほどに南インドの文化に惹かれた理由、それはいったいどんなところなのだろう?

 それもやっぱりカレーがきっかけです(キッパリ)。僕はどんなカレーも好きですが、日本でのインドカレーというのは、油分の多いコッテリとしたカレーを指すことが多くて、あるとき「確かに美味しいけれど、これを毎日食べるのは辛いな……」と気づいたんです。そこで調べていったら、どうやら南インドの料理なら毎日でも食べられるらしいぞ、と。カレー好きが最終的に南インドに辿り着くことが多いのは、やっぱり「日常食」だからだと思うんですね。南インドの昼の定食である「ミールス」は、以前に比べればだいぶ知られるようになってきましたけど、初めて食べたときに「よくわからない」と感じる人もまだまだ多いと思うんです。食べ方がわからないとか、ライタ(ヨーグルト)をご飯にかけちゃうの!? とか。でも、何度か食べていくと、「あぁ、美味しいなぁ」ってしみじみ感じられるようになるんです。過剰なスパイスの刺激に頼ることのない、日常の味。その美味しさがもっと広く伝わっていくといいなと思います。南のカレーは野菜や豆を多く使うから身体にもいいし、ミールスを出すようなイベントは女性客のほうが多かったりしますね。

吉田哲平さん。「僕は作家をめざしていたこともあるので、いつかは本を出版したいです。できればプロレスの本がいいなぁ(笑)。あ、もちろんカレーでもいいんですけど……」

 ここで「葉菜」のシェフ、吉田哲平さんのおすすめ、南インド料理9種とライスの「ベジタリアンプレート」が登場。旅行中に南インド料理に出会い衝撃を受けたという吉田さんの手によるプレートは、「非日常のレストランの味ではなく、むしろ家庭の味」だという。吉田さんは、「中身は季節やその日に入った野菜によって変わります。基本的に千葉県産の地場素材を使っていて、一部は自分の畑から収穫したものですね。南インド料理はやっぱり野菜がたくさん食べられるのがポイントだし、このラッサム(トマトやタマリンドを使ったスープ)も、野菜の切れ端なんかを使って出汁を取っています。世界でもここにしかない味だと思って、僕は〈ベジラッサム〉と呼んでいます」と解説してくれた。

この日のプレートのメインは、トマトをベースにタマリンドの酸味を利かせたナスとじゃがいものコザンブ。そこにラッサムやダルカレー、サンバル、ポテトのポリヤル、青マンゴーのピクルス、三つ葉の和え物、ココナッツのチャトニー、パパド、ヨーグルトにスパイスと野菜を加えたライタなど盛りだくさん。それらを混ぜながら食べ進めるのが楽しい。「吉田菜園」からの恵みもたっぷりと盛り込まれている。
野菜の出汁がしっかりと感じられるベジラッサム(左上)と、豆と野菜の煮込みカレー、サンバル(右)。「サンバルは本当に味噌汁みたいな感じですね。具材によって味が変わるという部分も含めて」と吉田さん。
ケララ州のお母さんに習ったというダル。まさに南インドの家庭そのままの味! 写真右はインド人も大好きだという初夏の味、さわやかな酸味の「青マンゴーのピクルス」

 日本人シェフで南インド料理をきちんと出しているところって、実は少ないんです。そのぶんどのお店も、スパイスや味に対するこだわりがすごいし、それぞれの個性があって美味しい。僕は吉田さんの師匠筋でもある沼尻(匡彦)さんが大森でやってらっしゃる「ケララの風Ⅱ」とか、荒川区にある「なんどり」なんかも大好きですね。「葉菜」の料理の特徴は、野菜をすごく大事にしているところ。スパイス感や塩味はしっかり立っているんだけど、そのうしろに野菜の甘みがあるからどこまでも優しい。インド人シェフの南インド料理ももちろん美味しいんですけど、日本人シェフのお店もぜひいろいろ食べ比べてみてほしいと思います。今年は吉田さんも参加された「東京カリ~番長」水野さん主催の「LOVE INDIA」というイベントがあるんですが、これは探求心や情熱にあふれた日本人シェフたちの横のつながりを強くするというのが趣旨なんですね。なかでも南インド料理のシェフは個性が強い。本当に面白いことになっていると思いますね。

「野菜がおすすめって言いながら、こういうのもあるけどね」と、吉田さんが運んでくださったのは、ポークペッパーフライ。ゴロリとした豚肉のかたまりに胡椒やカルダモンで風味をつけた逸品だ。ご飯にももちろん合うが、やっぱりここはお酒をお願いします!

ポークペッパーフライ。「イメージはインド版の角煮です」という吉田さんの言葉の通り、舌にとろける仕上がり。肉の味に負けないよう、スパイスの芳香も強めに設定されている。

 これだけでもかなり飲めちゃいますよね(笑)。南インドの人は野菜しか食べないと誤解している人もいるんですが、もちろん肉も魚もあります。ヒンドゥー教は牛肉、イスラム教は豚肉を食べないですけど、南のほうはクリスチャンもいますから。チェンナイは大都会なので、お台場にあるようなショッピング・モールもあれば、マックとかケンタッキーもあって、街もきれい。ぼったくりとかにもほとんど遭わないです。暑いっていうのだけはどうしようもないですけどね(笑)。やっぱり南インドってなかなか知られる機会が少ないし、誤解も多い。吉田さんはそんな国の料理に真摯に向き合って、勝田台という場所でこれだけの「本物」を提供し続けている。それ自体、奇跡のようなことだと思うんです。だって、開店当初はよく「ナンないですか?」って訊かれていましたよね。 

 どの世界に於いても、開拓者たちの苦労は計り知れない。事実、「葉菜」も最初の3年ほどは赤字が続き、それこそナンがないというだけで帰ってしまうお客さんも多かったという。しかし「都内でカレー好きの人たちをメインにするのではなく、これまで南インド料理を知らなかった人たちにこそ、この美味しさを知ってもらいたかった。だからあえて僕の地元であるこの場所やりたいと思ったんです」という吉田さんの熱意は報われ、今では週に何度も通う常連客も増えたのだという。決して食べ飽きることのない、この重奏的な味わいを求めて。

僕にとってのカレー、それは食事であると同時に、「カルチャー」でもあるんです

 南インドカレーがだんだんと認知されてきたのは、西葛西のインド人コミュニティの影響もあるかもしれませんね。IT系エンジニアとして日本で働いているインド人を中心に、1月になると公民館みたいなホールでお祭りが開かれるんです。ポンガル(南インドの収穫祭)が、実は西葛西でも開かれていたという事実(笑)。当然日本語のアナウンスとかもないので、僕らは300人ぐらいのインド人が集まって歌ったり踊ったりしているのをただ見ているだけです(笑)。まぁ、それだけでも楽しいんですけどね。そのお祭りに中目黒の「シリバラジ」とか、船堀の「ゴヴィンダス」が出店してるので、それ目当ての日本人をチラホラ見かけたりもしますけど、「だいたい見たことある顔だな~」っていう(笑)。カレー好きってすごく多いというイメージがありますけど、コアなインド料理のファンって、実はけっこう少ないんですよ。

ココナッツのチャトニーとサンバルが添えられたマサラドーサ。「皮がパリッとしたドーサも多いですけど、うちは家庭料理らしくモチッとしたタイプですね」と吉田さん。

 会話が進むうちに残り少なくなったプレートのライスは、さまざまなカレーの味が混ざりあい、立体的かつ優しくマイルドな味わいになっている。島田さんの言う「しみじみと美味しい」の意味が、確かに食べ進むうちにわかってきた。そろそろ取材も大詰め。島田さんの今度やカレーとのつきあい方、そして阿佐ヶ谷書院の未来について訊いてみよう。

 カレーが好きなのは今後も変わらないと思うので、明日も明後日も食べ続けると思います。とはいえ、1日5食も6食も食べるわけでもないですし、無理もしません。あくまで日常の中にカレーがあるという感じです。そもそも僕にとってのカレーというのは、食事であるのと同時に、人と人とをつなぐ「カルチャー」でもあるんですよ。ハマるキッカケが江口寿史さんだったというのもそうだし、僕が好きなマンガだったり、プロレスだったり、音楽だったり、野球だったり、そういったカルチャーと地続きなものとしてカレーを捉えている部分があるんです。だからこそ、吉田さんみたいに「カレーをつくる人」や「カレーが好きな人」の話を聞くのも大好きだし、その楽しさを人にも伝えたいと思うんですね。そういう意味では「阿佐ヶ谷書院」の展開も、そこに「人の営み」を表現できるのであれば、カレーだけにこだわらなくてもいいと思っています。今は書籍の企画も通りにくい時代ですし、自分が面白いと思った人や、なんとかしてあげたいなって思う人たちの本を、1冊でも多く出し続けていければと思っていますね。
 ……でも、やっぱり次もカレーの本をつくっちゃうんだろうな(笑)。好きだからこそ、ああだこうだ言われずに自分の世界を守っていきたい。「みんなの邪魔もしないから、俺も好きにやらせてくれ!」っていう(笑)。

南インド料理 葉菜 八千代市勝田台1-13-32 MTビル1F
047-482-8974
営業時間:11:30~15:00(ラストオーダーは14:00)/
18:00~21:00(ラストオーダーは21:00)/
21:00~25:00はBARタイム
定休日:水曜日/第2火曜日

島田真人 Shimada Masato
東京都練馬区出身。阿佐ヶ谷在住。インディーズ出版レーベル「阿佐ヶ谷書院」主宰。『カレーキャラバン』『カレーマシンガン』などのミニコミも制作。インディーズ・レコード会社勤務時代にカレーにハマり、以降カレーを食べ続け現在に至る。漫画家、イラストレーター、デザイナー、編集者などが集まる「ベンチウォーマーズ」にも所属し、『アックス』(青林工藝舎刊)での連載なども担当している。イラストは漫画家の堀道広氏によるもの。

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